受験での位置づけ
軸と区間の相対位置がパラメータで動く型は、医学部・難関大の2次関数で頻出。ひらめきは不要で、分類を機械的に実行できるかがそのまま得点差になる。
攻略の方針
難関記述では「場合の宣言 → 各枝の計算 → 境界の確認」が答案の骨格になる。場合分けの条件を先に書き切ってから計算に入ること。計算しながら場合を思いつく書き方をすると必ず抜けが出る。また、最小値と最大値では場合分けの構造そのものが変わるため、問われている量を最初に確認してから分類を設計する。
前提チェック
`ME-M1-18` の到達チェックを満たしている(平方完成と軸の読み取り)
この回のポイント
- まず平方完成して軸 $x=p$ を固定する。動くのは区間の方
- 下に凸($a>0$)のとき、最小は「頂点か端点」、最大は必ず端点
- 最小値は区間が軸の左/軸を含む/軸の右、の3通りで場合分けする
- 最大値は区間の中点と軸の位置関係で決まる(軸から遠い端点が最大)
- 境界の $t$ で両側の式が一致することを必ず確認する(一致しなければどこかが誤り)
- $a<0$(上に凸)なら最大と最小の役割がそのまま入れ替わる
定義 · 動く定義域
パラメータ $t$ に対し定義域が $[t,\,t+\ell]$($\ell>0$ は区間の長さで定数)と動くとき、最大値 $M(t)$・最小値 $m(t)$ を $t$ の関数として求める問題。区間の長さは変わらず位置だけが平行移動するのが特徴で、区間が軸を含む条件は $t\le p\le t+\ell$、すなわち $p-\ell\le t\le p$ となる。
公式ボックス
$a>0$ のとき $y=a(x-p)^2+q$ は下に凸、軸は $x=p$
軸を含む条件
$t\le p\le t+\ell$ ⇔ $p-\ell\le t\le p$
下に凸
最小は頂点または端点、最大は必ず端点
最大の判定
区間の中点 $t+\dfrac{\ell}{2}$ と軸 $p$ を比べ、軸から遠い端点をとる
核となる手順
- 1 $y=a(x-p)^2+q$ に平方完成する($a>0$ を典型とする)
- 2 軸 $x=p$ が区間に入る条件 $t\le p\le t+\ell$ を $p-\ell\le t\le p$ に直す
- 3 場合1:区間が軸より左($t+\ell<p$)→ 区間内で単調減少
- 4 場合2:区間が軸を含む → 最小は頂点、最大は両端の大きい方
- 5 場合3:区間が軸より右($t>p$)→ 区間内で単調増加
- 6 境界 $t=p-\ell,\ t=p$ で式がつながることを確認する
例題A(標準)
$y=x^2-2x$ を $t\le x\le t+1$ で考える。最小値 $m(t)$ を $t$ で場合分けして求めよ。
解答の流れ
- 平方完成して $y=(x-1)^2-1$。軸は $x=1$、頂点は $(1,\,-1)$、$a=1>0$ で下に凸
- 軸を含む条件は $t\le 1\le t+1$ を解いて $0\le t\le 1$
- $t<0$:区間全体が軸より左で単調減少。最小は右端 $x=t+1$ で $m(t)=(t+1-1)^2-1=t^2-1$
- $0\le t\le 1$:区間が軸を含むので最小は頂点そのもので $m(t)=-1$
- $t>1$:区間全体が軸より右で単調増加。最小は左端 $x=t$ で $m(t)=(t-1)^2-1$
- 境界の確認:$t=0$ で $0^2-1=-1$、$t=1$ で $(1-1)^2-1=-1$。いずれも一致し $m(t)$ は連続につながる
答え $m(t)=t^2-1\ (t<0)$、$m(t)=-1\ (0\le t\le 1)$、$m(t)=(t-1)^2-1\ (t>1)$
例題B(受験)
同じ設定 $y=x^2-2x$、$t\le x\le t+1$ で、最大値 $M(t)$ を場合分けして求めよ。
解答の流れ
- 下に凸なので最大は必ず端点でとる。頂点は候補から外れ、$f(t)$ と $f(t+1)$ の比較だけでよい
- 最小値のときは「軸の左/含む/右」の3通りだったが、最大値では分類の軸そのものが変わる点に注意する
- $f(t)=(t-1)^2-1=t^2-2t$、$f(t+1)=(t+1-1)^2-1=t^2-1$
- 差をとると $f(t)-f(t+1)=(t^2-2t)-(t^2-1)=-2t+1$
- $-2t+1>0$ すなわち $t<\dfrac12$ なら $f(t)>f(t+1)$ で最大は左端、$t>\dfrac12$ なら最大は右端
- $t=\dfrac12$ のときは両端が等しく、ともに $-\dfrac34$ になる
- 境目の理由:区間 $[t,\,t+1]$ の中点 $t+\dfrac12$ が軸 $x=1$ と一致するのが $t=\dfrac12$。下に凸では軸から遠い端点ほど値が大きい
- この見方を使えば差の計算をせずに、中点と軸を比べるだけで最大をとる端点が即断できる
答え $M(t)=t^2-2t\ \left(t\le \dfrac12\right)$、$M(t)=t^2-1\ \left(t\ge \dfrac12\right)$
演習
(1) $y=(x-2)^2+1$($0\le x\le 3$)の最大値・最小値を、それぞれとる $x$ の値とともに求めよ。
(2) $y=x^2-4x$ を $t\le x\le t+2$ で考える。区間が軸を含む条件を $t$ の範囲で答えよ。
(3) (2) の設定で、最大値の場合分けの境目となる $t$ の値を求めよ。
解答の流れ
- (1) 軸は $x=2$、頂点 $(2,\,1)$、下に凸。軸は $[0,3]$ に含まれるので最小は頂点で $x=2$ のとき $1$
- (1) 端点は $f(0)=(0-2)^2+1=5$、$f(3)=(3-2)^2+1=2$。よって最大は $x=0$ のとき $5$
- (2) 平方完成して $y=(x-2)^2-4$、軸は $x=2$。区間の長さは $2$
- (2) 軸を含む条件 $t\le 2\le t+2$ を解くと $0\le t\le 2$
- (3) 最大は端点比較で決まり、境目は区間の中点が軸と一致するとき。中点は $t+1$ なので $t+1=2$ より $t=1$
答え (1) 最大 $5$($x=0$)、最小 $1$($x=2$) (2) $0\le t\le 2$ (3) $t=1$
落とし穴(減点パターン)
- 下に凸なのに頂点を最大と答える($a>0$ なら頂点は最小側で、最大は必ず端点)
- 軸を含む条件で区間の長さ $\ell$ を落とす($t\le p$ だけでなく $p\le t+\ell$ も必要)
- 最小値と同じ場合分けで最大値を求める(最大は3通りではなく中点比較による2通り)
- 境界で場合を二重に数える(重複も抜けもない形で宣言する)
- 境界での一致を確認しない($m(t)$ が境界で不連続なら、その時点で誤り)
- 上に凸($a<0$)の問題に、下に凸の結論をそのまま当てはめる(最大と最小の役割が入れ替わる)
- $m(t)$ を求めよと言われているのに、$t$ ではなく $x$ の式で答える(答えはパラメータ $t$ の関数)
到達チェック(完璧の条件)
- ゴールを何も見ずに言える
- 軸を含む条件 $p-\ell\le t\le p$ を自力で導ける
- 最小値は3通り、最大値は2通りに分かれる理由を説明できる
- 「軸から遠い端点が最大」を中点と軸の比較として使える
- 境界での一致確認を答案に書ける