MEDVANCE · 発展講座
高校数学I・発展 · 2次関数・発展 · 約26分

ADV-M1-06 · 定義域が動く最大最小

ゴール 定義域が動くとき、軸との位置関係で場合分けし、最大値・最小値をパラメータの式として求められる

受験での位置づけ

軸と区間の相対位置がパラメータで動く型は、医学部・難関大の2次関数で頻出。ひらめきは不要で、分類を機械的に実行できるかがそのまま得点差になる。

攻略の方針

難関記述では「場合の宣言 → 各枝の計算 → 境界の確認」が答案の骨格になる。場合分けの条件を先に書き切ってから計算に入ること。計算しながら場合を思いつく書き方をすると必ず抜けが出る。また、最小値と最大値では場合分けの構造そのものが変わるため、問われている量を最初に確認してから分類を設計する。

前提チェック

`ME-M1-18` の到達チェックを満たしている(平方完成と軸の読み取り)

この回のポイント

定義 · 動く定義域

パラメータ $t$ に対し定義域が $[t,\,t+\ell]$($\ell>0$ は区間の長さで定数)と動くとき、最大値 $M(t)$・最小値 $m(t)$ を $t$ の関数として求める問題。区間の長さは変わらず位置だけが平行移動するのが特徴で、区間が軸を含む条件は $t\le p\le t+\ell$、すなわち $p-\ell\le t\le p$ となる。

公式ボックス

$a>0$ のとき $y=a(x-p)^2+q$ は下に凸、軸は $x=p$
軸を含む条件
$t\le p\le t+\ell$ ⇔ $p-\ell\le t\le p$
下に凸
最小は頂点または端点、最大は必ず端点
最大の判定
区間の中点 $t+\dfrac{\ell}{2}$ と軸 $p$ を比べ、軸から遠い端点をとる

核となる手順

  1. 1 $y=a(x-p)^2+q$ に平方完成する($a>0$ を典型とする)
  2. 2 軸 $x=p$ が区間に入る条件 $t\le p\le t+\ell$ を $p-\ell\le t\le p$ に直す
  3. 3 場合1:区間が軸より左($t+\ell<p$)→ 区間内で単調減少
  4. 4 場合2:区間が軸を含む → 最小は頂点、最大は両端の大きい方
  5. 5 場合3:区間が軸より右($t>p$)→ 区間内で単調増加
  6. 6 境界 $t=p-\ell,\ t=p$ で式がつながることを確認する

例題A(標準)

$y=x^2-2x$ を $t\le x\le t+1$ で考える。最小値 $m(t)$ を $t$ で場合分けして求めよ。

解答の流れ

  1. 平方完成して $y=(x-1)^2-1$。軸は $x=1$、頂点は $(1,\,-1)$、$a=1>0$ で下に凸
  2. 軸を含む条件は $t\le 1\le t+1$ を解いて $0\le t\le 1$
  3. $t<0$:区間全体が軸より左で単調減少。最小は右端 $x=t+1$ で $m(t)=(t+1-1)^2-1=t^2-1$
  4. $0\le t\le 1$:区間が軸を含むので最小は頂点そのもので $m(t)=-1$
  5. $t>1$:区間全体が軸より右で単調増加。最小は左端 $x=t$ で $m(t)=(t-1)^2-1$
  6. 境界の確認:$t=0$ で $0^2-1=-1$、$t=1$ で $(1-1)^2-1=-1$。いずれも一致し $m(t)$ は連続につながる
答え $m(t)=t^2-1\ (t<0)$、$m(t)=-1\ (0\le t\le 1)$、$m(t)=(t-1)^2-1\ (t>1)$

例題B(受験)

同じ設定 $y=x^2-2x$、$t\le x\le t+1$ で、最大値 $M(t)$ を場合分けして求めよ。

解答の流れ

  1. 下に凸なので最大は必ず端点でとる。頂点は候補から外れ、$f(t)$ と $f(t+1)$ の比較だけでよい
  2. 最小値のときは「軸の左/含む/右」の3通りだったが、最大値では分類の軸そのものが変わる点に注意する
  3. $f(t)=(t-1)^2-1=t^2-2t$、$f(t+1)=(t+1-1)^2-1=t^2-1$
  4. 差をとると $f(t)-f(t+1)=(t^2-2t)-(t^2-1)=-2t+1$
  5. $-2t+1>0$ すなわち $t<\dfrac12$ なら $f(t)>f(t+1)$ で最大は左端、$t>\dfrac12$ なら最大は右端
  6. $t=\dfrac12$ のときは両端が等しく、ともに $-\dfrac34$ になる
  7. 境目の理由:区間 $[t,\,t+1]$ の中点 $t+\dfrac12$ が軸 $x=1$ と一致するのが $t=\dfrac12$。下に凸では軸から遠い端点ほど値が大きい
  8. この見方を使えば差の計算をせずに、中点と軸を比べるだけで最大をとる端点が即断できる
答え $M(t)=t^2-2t\ \left(t\le \dfrac12\right)$、$M(t)=t^2-1\ \left(t\ge \dfrac12\right)$

演習

(1) $y=(x-2)^2+1$($0\le x\le 3$)の最大値・最小値を、それぞれとる $x$ の値とともに求めよ。
(2) $y=x^2-4x$ を $t\le x\le t+2$ で考える。区間が軸を含む条件を $t$ の範囲で答えよ。
(3) (2) の設定で、最大値の場合分けの境目となる $t$ の値を求めよ。

解答の流れ

  1. (1) 軸は $x=2$、頂点 $(2,\,1)$、下に凸。軸は $[0,3]$ に含まれるので最小は頂点で $x=2$ のとき $1$
  2. (1) 端点は $f(0)=(0-2)^2+1=5$、$f(3)=(3-2)^2+1=2$。よって最大は $x=0$ のとき $5$
  3. (2) 平方完成して $y=(x-2)^2-4$、軸は $x=2$。区間の長さは $2$
  4. (2) 軸を含む条件 $t\le 2\le t+2$ を解くと $0\le t\le 2$
  5. (3) 最大は端点比較で決まり、境目は区間の中点が軸と一致するとき。中点は $t+1$ なので $t+1=2$ より $t=1$
答え (1) 最大 $5$($x=0$)、最小 $1$($x=2$) (2) $0\le t\le 2$ (3) $t=1$

落とし穴(減点パターン)

到達チェック(完璧の条件)