概要
- 講座: 共通テスト対策
- 科目: 共通テスト情報
- 章: 情報社会の問題解決
- 目安: 18分
- 前提: なし
- 次: ME-IF-02
今日のゴール
「問題の明確化 → 情報収集 → 整理・分析 → 提案 → 評価」の型を場面問題に適用し、情報源を信頼性の観点から吟味できる
受験での位置づけ
共通テスト「情報I」は用語の暗記では点にならない。具体的な場面を与えて「この状況で何をすべきか」を判断させる出題が中心であり、判断の基準となる型を持っているかどうかで差がつく。この回で扱う問題解決のプロセスと情報の信頼性評価は、後続のデータ活用・情報デザイン・セキュリティのすべてで前提になる。
共通テスト攻略の方針
場面問題では「もっともらしい選択肢」が必ず複数用意されている。判定の軸は「型のどの段階の話をしているか」。手段の話をすべき段階なのか、問題定義の段階なのかを見極めれば、順序を飛ばした選択肢を機械的に切れる。
前提チェック
- 入口単元(ここから開始してよい)
この回のポイント
- 問題とは現状と目標のギャップ。ギャップを定義しないと解決策は選べない
- 手段から入らない(「アプリを作ろう」は問題定義ではない)
- 一次情報(原資料)と二次情報(誰かがまとめたもの)を区別する
- ファクト(事実)とオピニオン(意見)を切り分ける
- 情報源の評価軸は 発信者・根拠・日付・検証可能性の4つ
定義・用語
問題解決のプロセス
現状と目標のギャップを問題として定義し、情報に基づいて解決策を選び、実施後に評価する一連の流れ。「問題の明確化 → 情報収集 → 整理・分析 → 解決案の立案と選択 → 実施 → 評価」という順序を持つ。順序に意味があり、飛ばすと的外れな解決策になる。
一次情報と二次情報
一次情報は、事象に直接由来する原資料(実験の測定データ、政府の公式統計、当事者本人の発言、原論文)。二次情報は、一次情報をもとに誰かが解説・要約・引用したもの(新聞記事、まとめサイト、教科書)。二次情報は理解しやすい代わりに、要約の過程で誤りや偏りが混入しうる。
ファクトとオピニオン
ファクトは検証すれば真偽が確定する記述(「2020年の平均気温は◯◯度だった」)。オピニオンは書き手の価値判断(「気温上昇は深刻だ」)。オピニオンが悪いのではなく、両者が混ざった文章を全部ファクトとして受け取るのが危険。
核となる手順(試験でそのまま使う)
- 問題を一文で定義する(「現状は〜だが、目標は〜である」の形で書く)
- 目標を測る指標を決める(何がどうなれば解決したと言えるか)
- 必要な情報をリストアップする
- 各情報源を 発信者・根拠・日付・検証可能性の4軸で評価する
- 整理・分析したうえで解決案を複数出し、比較して選ぶ
- 実施後に指標で評価し、必要なら①へ戻る
例題A(標準・型の確認)
SNSの投稿だけを根拠にして結論を出すことの危険性を説明せよ。また、その情報を扱うとしたら何をすべきか述べよ。
解答A
- 危険1:発信者が不明または検証されていない 匿名アカウントの場合、発信者の専門性・利害関係・過去の発言の正確さを確認できない。誰が言ったか分からない情報は、正しさを判定する手がかりを持たない。
- 危険2:検証可能性がない 多くの投稿は出典を示さない。元データにたどり着けないため、真偽を確かめる手段がない。
- 危険3:拡散の速さと訂正の遅さが非対称 誤情報は感情を動かす内容ほど速く広がる一方、訂正は同じ速度では広がらない。拡散数の多さは正しさの証拠にならない。
- 危険4:同じ意見ばかりが目に入る 推薦アルゴリズムにより自分と近い意見が集まりやすく(エコーチェンバー)、「みんなが言っている」という誤った感覚が生まれる。
- ではどうするか
- 投稿が引用している一次情報にさかのぼる(元の統計・論文・公式発表を確認する)。
- 一次情報が示されていない場合は、別系統の情報源で裏を取る。同じ投稿の転載を複数見ても裏取りにはならない。
- 記述をファクトとオピニオンに切り分け、ファクト部分だけを検証対象にする。
- 答え 発信者と検証可能性が不明であり、拡散数は正しさを保証しないため。一次情報にさかのぼり、別系統の情報源で裏を取る必要がある。
例題B(共通テスト型・やや実戦)
$(1)$ 一次情報の例を3つ挙げよ。
$(2)$ 「厚生労働省の統計をもとに新聞社が作成した記事」は一次情報か二次情報か。理由も述べよ。
$(3)$ 次の文をファクトとオピニオンに分けよ。
「昨年度の当校の欠席率は $5.2\%$ であり、これは深刻な水準である。原因は生活習慣の乱れだと考えられる。」
解答B
- $(1)$ 実験で自ら測定したデータ/政府や自治体が公表する公式統計(人口動態統計など)/当事者本人が書いた原資料(原論文、一次史料、本人の記者会見)。
- $(2)$ 二次情報。
- 理由:記事の内容は厚生労働省の統計という一次情報に由来しているが、新聞社が選択・要約・解釈を加えている。どのデータを取り上げ、どう見出しをつけるかの判断が入る時点で、原資料そのものではない。
- 重要な含意 二次情報が誤っているという意味ではない。ただし元の統計に当たれば確認できる以上、結論を左右する数値なら一次情報を見るべきである。共通テストではこの「さかのぼれるか」が問われる。
- $(3)$
- ファクト 「昨年度の当校の欠席率は $5.2\%$ であり」← 記録を調べれば真偽が確定する。
- オピニオン 「これは深刻な水準である」← 何をもって深刻とするかは価値判断。他校平均や過去の値と比べなければ判定できない。
- オピニオン(推測) 「原因は生活習慣の乱れだと考えられる」← 「考えられる」とある通り推測。因果はデータで示されていない。
- 切り分けの効用 この一文を丸ごと事実として受け取ると、検証されていない因果まで前提にして対策を立ててしまう。**ファクトは $5.2\%$ という数値だけ**である。
- 答え $(1)$ 実験データ・公式統計・当事者の原資料 $(2)$ 二次情報(選択と解釈が加わっているため) $(3)$ ファクトは欠席率 $5.2\%$ のみ、残る2文はオピニオン
演習(自力で再現)
$(1)$ 問題解決で最初にやるべきことは「解決手段を探すこと」か。理由とともに答えよ。
$(2)$ 「文化祭の来場者が少ない」という状況を、問題として一文で定義し直せ。
解答
- $(1)$ いいえ。最初にやるべきは問題の定義と目標の明確化。
- 理由:手段から入ると、解くべき問題がずれたまま作業だけが進む。 例えば「来場者が少ない」に対していきなり「SNSで宣伝しよう」と決めると、実は原因が開催日時や会場のアクセスだった場合、宣伝を強化しても来場者は増えない。
- 問題を定義していないと何がどうなれば成功かも決まらないため、実施後の評価もできない。プロセスの最後の「評価」段階が機能しなくなる。
- 手段は、情報収集と分析を経て複数案を比較したうえで選ぶもの。最初に1つに決め打ちするものではない。
- $(2)$ 定義し直しの例
- 悪い例 「来場者が少ないので宣伝が足りない」← 原因を断定しており、かつ手段を含んでいる。
- 良い例 「昨年度の文化祭来場者数は $300$ 人だったが、目標は $500$ 人である。この $200$ 人のギャップが問題である。」
- 良い定義の条件 ① 現状が数値で書かれている ② 目標が数値で書かれている ③ 手段も原因も含まない。この3条件を満たせば、後段で複数の解決案を公平に比較できる。
- 答え $(1)$ いいえ。問題定義と目標の明確化が先 $(2)$ 現状と目標を数値で示し、ギャップとして定義する
落とし穴(減点・ひっかけパターン)
- 手段から入る 「アプリを作る」「SNSで宣伝する」は解決案であって問題定義ではない。選択肢がプロセスのどの段階の話かを見る
- 問題定義に原因を混ぜる 「宣伝が足りないので来場者が少ない」は原因の断定。分析前に原因を決めると他の可能性を検討できなくなる
- それっぽい情報で結論を急ぐ 拡散数・見た目の説得力は信頼性の指標にならない。発信者・根拠・日付・検証可能性で評価する
- 同じ情報の転載を複数見て「裏が取れた」とする 出所が同じなら1つの情報源にすぎない。別系統で確認する
- ファクトとオピニオンが混ざった文を丸ごと事実として扱う 検証されていない因果まで前提にしてしまう
到達チェック(完璧の条件)
- ゴールを何も見ずに言える
- 問題解決のプロセスを順序どおりに列挙し、なぜその順序かを説明できる
- 一次情報と二次情報を、具体例で区別できる
- 任意の文章をファクトとオピニオンに切り分けられる
- 確認クイズで合格点(4/5以上)
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次は ME-IF-02。本単元の到達チェックをすべて満たしてから進む。
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