概要
- 講座: 共通テスト対策
- 科目: 共通テスト社会
- 章: 地理総合
- 目安: 18分
- 前提: なし
- 次: ME-SO-02
今日のゴール
縮尺の計算を単位換算として確実に実行し、緯度経度から時差を求め、GISの資料を凡例と単位から読める
受験での位置づけ
共通テスト地理の失点は、知識不足よりも図表の読み取り作業のミスで起きる。縮尺の単位換算、凡例の見落とし、資料にない因果の追加。この3つを潰すだけで安定して得点が伸びる。 医学部志望者にとっては短時間で仕上がる科目なので、型を作って理科・数学に時間を回すのが合理的。
共通テスト攻略の方針
地理は暗記量より「図表の読み取り精度」が得点を決める。資料問題では、答えは必ず資料の中にある。 自分の知識で補おうとした瞬間に誤答する設計になっているため、「資料に書いてあるか」だけで判定する。
前提チェック
- 入口単元(ここから開始してよい)
この回のポイント
- 緯度は南北の位置(赤道が $0°$、極が $90°$)、経度は東西の位置(本初子午線が $0°$)
- 縮尺は「地図上の長さ : 実際の長さ」の比。計算は掛けるだけの単位換算
- 経度 $15°$ で時差 $1$ 時間($360°\div 24$ 時間)
- GISは位置情報をひもづけたデータを層(レイヤ)として重ねる発想
- 資料問題で最初に見るのは 単位・凡例・年次の3点
定義・用語
縮尺
実際の距離を地図上でどれだけ縮めたかを表す比。$1:50{,}000$ は「地図上 $1$ に対し実際が $50{,}000$」の意味。分母が大きいほど縮小率が高く、広い範囲を粗く描く($1:50{,}000$ より $1:25{,}000$ の方が詳しい)。
GIS
地理情報システム(Geographic Information System)。位置にひもづくデータを層状に重ねて可視化・分析する仕組み。単独では見えない関係を、位置を共通の軸にして結びつけられる点に価値がある。
核となる手順(試験でそのまま使う)
- 図の凡例と単位を最初に読む(何色が何か、単位は千人か万人か)
- その資料が何と何を比較しているかを一言で言う
- 年次を確認する(異なる年の資料を比べていないか)
- 選択肢の因果が資料の範囲内で言えるかを確認する
- 資料に書いていないことが1語でも入っていれば切る
例題A(標準・型の確認)
縮尺 $1:50{,}000$ の地形図上で $2\ \mathrm{cm}$ の距離は、実際には何 $\mathrm{km}$ か。単位換算の手順を示して求めよ。また、同じ $2\ \mathrm{cm}$ が $1:25{,}000$ の地形図上ならどうなるか。
解答A
- 手順1 縮尺 $1:50{,}000$ は「地図上 $1\ \mathrm{cm}$ が実際の $50{,}000\ \mathrm{cm}$」を意味する。よって地図上の長さに $50{,}000$ を掛ければ実際の長さになる。
$$2\ \mathrm{cm}\times 50{,}000=100{,}000\ \mathrm{cm}$$
- 手順2 $\mathrm{cm}\to\mathrm{km}$ に直す。$1\ \mathrm{m}=100\ \mathrm{cm}$、$1\ \mathrm{km}=1{,}000\ \mathrm{m}$ なので $1\ \mathrm{km}=100{,}000\ \mathrm{cm}$。
$$100{,}000\ \mathrm{cm}=1{,}000\ \mathrm{m}=1\ \mathrm{km}$$
- 答え(前半) 実際の距離は $1\ \mathrm{km}$。
- 暗算用の覚え方 $1:50{,}000$ では **地図上 $1\ \mathrm{cm}$ = 実際 $0.5\ \mathrm{km}$**。よって $2\ \mathrm{cm}$ なら $2\times 0.5=1\ \mathrm{km}$ と一瞬で出せる。ただし**この $0.5$ は上の換算から毎回導ける**ようにしておくこと。丸暗記すると縮尺が変わったときに崩れる。
- **後半:$1:25{,}000$ の場合** $2\ \mathrm{cm}\times 25{,}000=50{,}000\ \mathrm{cm}=0.5\ \mathrm{km}$。
- 意味の確認 縮尺の分母が半分になると、同じ地図上の長さが表す実際の距離も半分になる。つまり同じ紙面により狭い範囲を詳しく描いている。「$1:25{,}000$ の方が詳しい地図」という関係がここから確認できる。
- 答え $1:50{,}000$ では $1\ \mathrm{km}$、$1:25{,}000$ では $0.5\ \mathrm{km}$
例題B(共通テスト型・やや実戦)
$(1)$ 東経 $135°$ の日本と、西経 $75°$ のニューヨークの時差を求めよ。
$(2)$ GISで複数のデータを「重ねる」ことの利点を、具体例を挙げて一文で述べよ。
解答B
- $(1)$
- 経度差を求める 東経と西経なので、経度差は足し算になる。
$$135°+75°=210°$$
- 時差に直す 地球は $24$ 時間で $360°$ 回るので、$360°\div 24=15°$ が $1$ 時間に相当する。
$$210°\div 15°=14\ \text{時間}$$
- 向きの確認 東にあるほど時刻が進む。日本は東経、ニューヨークは西経なので**日本の方が $14$ 時間進んでいる**。
- 符号ミスの防ぎ方 東経どうし・西経どうしなら引き算、東経と西経をまたぐなら足し算。「$0°$ の本初子午線をまたぐかどうか」で決まると考えれば迷わない。
- $(2)$ 利点 種類の異なるデータを位置という共通の軸で関連づけ、単独の資料では見えない関係を読み取れること。
- 具体例 「高齢者人口の分布」の層と「医療機関の立地」の層を重ねると、高齢者が多いのに医療機関が少ない地域が一目で分かる。人口統計だけ、施設一覧だけを見ていても、この「ずれ」は発見できない。
- 医療計画・防災計画・出店計画などが GIS の典型的な応用先であり、共通テストでも「重ねることで何が分かるか」という形で問われる。
- 答え $(1)$ $14$ 時間(日本が進んでいる) $(2)$ 位置を共通軸として異種データを関連づけ、単独では見えない関係を読み取れる
演習(自力で再現)
$(1)$ 資料問題で最初に確認すべき3点を挙げ、それぞれ確認を怠るとどんな誤りが起きるか述べよ。
$(2)$ 「A市はB市より高齢化率が高い。したがってA市では医療費が高い」という選択肢が、資料(高齢化率のグラフのみ)から判定できるか答えよ。
解答
- $(1)$ ① 単位 ② 凡例 ③ 対象年次
- 単位を見落とすと、$1{,}000$ 倍の桁違いで比較してしまう(千人と万人の混同が典型)。
- 凡例を見落とすと、色や記号の対応を取り違え、グラフの意味そのものを誤読する。
- 年次を見落とすと、$2010$ 年の資料と $2020$ 年の資料を並べて「増加した」と結論づけてしまう。異なる年次のものを比較しないのが鉄則。
- $(2)$ 判定できない(誤りの選択肢)。
- 資料が示しているのは高齢化率だけ。医療費のデータは資料に一切ない。
- 「高齢化率が高ければ医療費も高い」は一般には妥当に聞こえるが、それは受験生の知識であって資料の記述ではない。これがまさに「資料にない因果を足す」典型パターン。
- 判定基準は「もっともらしいか」ではなく「資料から言えるか」。前半(高齢化率の比較)は資料から言えるが、後半(医療費)は言えない。一部でも言えなければ選択肢全体が誤り。
- 答え $(1)$ 単位・凡例・年次 $(2)$ 判定できない。医療費のデータが資料にないため
落とし穴(減点・ひっかけパターン)
- 単位を無視する $\mathrm{cm}$ のまま $\mathrm{km}$ と答える、千人と万人を混同する。地理の失点で最も多い
- 資料にない因果を足す 資料が示すのは相関や分布であって因果ではない。「したがって〜だ」という選択肢は特に警戒する
- 縮尺の大小を逆に理解する 分母が小さいほど詳しい($1:25{,}000 > 1:50{,}000$ の詳しさ)。「縮尺が大きい=広範囲」と覚えると逆になる
- 時差計算で東経・西経の扱いを間違える またぐなら足し算、同じ側なら引き算
- 異なる年次の資料を並べて変化を語る 年次の確認は比較の前提
到達チェック(完璧の条件)
- ゴールを何も見ずに言える
- 縮尺の計算を、暗記ではなく単位換算の手順として再現できる
- 経度差から時差を求め、どちらが進んでいるかまで答えられる
- 「資料から言えるか」だけで選択肢を切る判断ができる
- 確認クイズで合格点(4/5以上)
次へ
次は ME-SO-02。本単元の到達チェックをすべて満たしてから進む。
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