ME-PH-01-P01 SI単位と単位換算
- ブランド: Medvance
- 講座: 基礎講座
- 科目: 高校物理(受験)
- 章: 探究と測定
- 目安: 8分
- 前提: なし
- 次: ME-PH-01-P02
今日のゴール
物理量をSI基本単位と組立単位で表し、「1に等しい換算分数」を使って単位換算を途中過程つきで実行できる。
受験での位置づけ
単位は答えの飾りではなく、物理量の意味そのものである。力学・熱・波・電磁気のすべてで、単位の混在は数値が合っていても誤答を生む。このPartでは有効数字や測定誤差へ広げず、SI単位の構造と換算操作を一つの技能として完成させる。
この回のポイント
- SI基本単位のうち力学で中心となるのは $\mathrm{m,kg,s}$。
- 速度、加速度、力などの組立単位は基本単位の積・商で表せる。
- 単位換算は、値が1の分数を掛けて消したい単位を約分する操作である。
- 数値だけでなく単位も式の中で計算し、最後に求める単位が残るか確認する。
定義・用語
物理量とSI単位
物理量は「数値×単位」で表す。長さのSI基本単位はメートル $\mathrm{m}$、質量はキログラム $\mathrm{kg}$、時間は秒 $\mathrm{s}$。接頭語 $\mathrm{k}$ は $10^3$、$\mathrm{c}$ は $10^{-2}$、$\mathrm{m}$ は $10^{-3}$ を表す。ただし単位記号の $\mathrm{m}$ がメートルか接頭語ミリかは位置で区別する。
組立単位
速度は距離÷時間なので $\mathrm{m/s}$、加速度は速度の変化÷時間なので $\mathrm{m/s^2}$。力は $F=ma$ より
$$\mathrm{N}=\mathrm{kg\cdot m/s^2}$$
と基本単位へ分解できる。
換算分数
$1\ \mathrm{km}=1000\ \mathrm{m}$ だから、$\dfrac{1000\ \mathrm{m}}{1\ \mathrm{km}}$ と $\dfrac{1\ \mathrm{km}}{1000\ \mathrm{m}}$ はどちらも値が1である。消したい単位が分母・分子で打ち消される向きを選ぶ。
核となる手順
- 与えられた数値に単位を付けたまま書く。
- 消したい単位と、最後に残したい単位を決める。
- 消したい単位が約分される向きで、1に等しい換算分数を掛ける。
- 数値と単位をそれぞれ計算する。
- 最後に残った単位が、問題で求められた単位と一致するか検算する。
例題A(標準)
$72\ \mathrm{km/h}$ を $\mathrm{m/s}$ に換算せよ。途中の換算分数も示せ。
解答A
- $\mathrm{km}$ を消して $\mathrm{m}$ を残すため、$\dfrac{1000\ \mathrm{m}}{1\ \mathrm{km}}$ を掛ける。
- $\mathrm{h}$ は分母にあるので、分子側の $\mathrm{h}$ で消すため $\dfrac{1\ \mathrm{h}}{3600\ \mathrm{s}}$ を掛ける。
- 単位を含めて計算すると
$$72\frac{\mathrm{km}}{\mathrm{h}}\times\frac{1000\ \mathrm{m}}{1\ \mathrm{km}}\times\frac{1\ \mathrm{h}}{3600\ \mathrm{s}}
=72\times\frac{1000}{3600}\frac{\mathrm{m}}{\mathrm{s}}.$$
- $\mathrm{km}$ と $\mathrm{h}$ が約分され、$\mathrm{m/s}$ が残るので換算の向きは正しい。
- 数値は $72\times1000/3600=20$。答えは $20\ \mathrm{m/s}$。
演習(自力再現)
$(1)$ $250\ \mathrm{cm}$ を $\mathrm{m}$ に換算せよ。
$(2)$ $15\ \mathrm{m/s}$ を $\mathrm{km/h}$ に換算せよ。
$(3)$ 力の単位 $\mathrm{N}$ を $\mathrm{kg,m,s}$ で表せ。
解答
- $(1)$ $250\ \mathrm{cm}\times\dfrac{1\ \mathrm{m}}{100\ \mathrm{cm}}=2.5\ \mathrm{m}$。$\mathrm{cm}$ が約分される向きを選ぶ。
- $(2)$ $15\ \dfrac{\mathrm{m}}{\mathrm{s}}\times\dfrac{1\ \mathrm{km}}{1000\ \mathrm{m}}\times\dfrac{3600\ \mathrm{s}}{1\ \mathrm{h}}=54\ \mathrm{km/h}$。逆向きの換算では結果的に3.6を掛ける。
- $(3)$ $F=ma$ で、質量は $\mathrm{kg}$、加速度は $\mathrm{m/s^2}$。したがって $\mathrm{N}=\mathrm{kg\cdot m/s^2}$。
落とし穴
- $\mathrm{km/h}$ と $\mathrm{m/s}$ を混在させたまま公式へ代入しない。先に一つの単位系へ揃える。
- 換算係数を暗記だけで決めない。3.6を掛けるか割るかは換算分数の約分で決める。
- 質量のSI基本単位は $\mathrm{g}$ ではなく $\mathrm{kg}$。
- 面積・体積では換算倍率も二乗・三乗になる。$1\ \mathrm{m^2}=10^4\ \mathrm{cm^2}$ である。
到達チェック
- 力学の基本単位 $\mathrm{m,kg,s}$ を言える。
- $\mathrm{N}$ を基本単位へ分解できる。
- $\mathrm{km/h}$ と $\mathrm{m/s}$ の換算を分数から導ける。
- 単位を約分し、換算の向きを検算できる。
- 確認クイズで4/5以上を取れる。
次へ
次は ME-PH-01-P02 で有効数字を扱う。