ME-M1-01 整式・項・係数・次数の厳密定義
- ブランド: Medvance
- 科目: 高校数学I
- 章: 数と式
- 目安: 18分
- 前提: なし
- 次: ME-M1-02
今日のゴール
整式と整式でないものを定義に照らして判別し、項・係数・次数・定数項を符号込みで正確に答えられる
受験での位置づけ
「整式かどうか」は、この後に学ぶほぼすべての操作の前提条件になる。因数分解も割り算も剰余の定理も、対象が整式であることを暗黙に要求している。ここが曖昧なまま進むと、なぜその変形が許されるのかを説明できない答案になる。
攻略の方針
「なんとなく多項式っぽい」で判断しない。変数の指数が非負整数かどうかという一点だけで機械的に切る。この基準さえ持てば、見たことのない式でも判別できる。逆に、係数の見た目(無理数か分数か)に引きずられた瞬間に誤判定が始まる。
前提チェック
この回のポイント
- 整式の条件は「変数の指数が非負整数」であること のただ一つ
- 係数には $\sqrt{2}$ や $\pi$、$\dfrac12$ のような数が入ってもよい(定数なら何でもよい)
- 定数だけの式も整式(次数 $0$)。ただし $0$ そのものの次数は定義しない
- $\dfrac{1}{x}=x^{-1}$、$\sqrt{x}=x^{1/2}$ はいずれも指数が非負整数でないため整式ではない
- $\dfrac{x}{2}$ は整式だが $\dfrac{1}{x}$ は整式ではない(変数が分母にあるかで切る)
- 係数は符号込みで答える($-3x$ の係数は $-3$)
- 展開すると最高次が相殺されることがあるので、次数は整理してから読む
定義・用語
整式(多項式)
定数 $a_n,a_{n-1},\ldots,a_0$ と非負整数 $n$ を用いて $a_n x^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1 x+a_0$ の形に書ける式。$a_n\neq 0$ のとき次数は $n$、最高次の係数は $a_n$、定数項は $a_0$。制約されているのは指数であって係数ではない点が判別の急所で、$\sqrt{2}$ は定数、$\sqrt{x}$ は変数の $\frac12$ 乗である。
公式ボックス
- 整式:$a_n x^n+\cdots+a_0$($n$ は非負整数)
- 次数:$a_n\neq 0$ のときの $n$
- 定数項:$a_0$($x^0$ の係数)
- 降べきの順:指数の高い順に並べる
核となる手順
- 各項を符号込みで特定する
- 各項の変数の指数を読む(定数項は $x^0$ と見る)
- すべての指数が非負整数かを確認する(1つでも外れれば整式でない)
- 最大の指数を次数とする
- 必要なら降べきの順に並べ替える
例題A(標準)
次のうち整式であるものをすべて選べ。また (1) の次数と定数項を答えよ。
(1) $2x^3-\sqrt{2}\,x+1$
(2) $x^2+\dfrac{1}{x}$
(3) $5$
(4) $\sqrt{x^2+1}$
解答
- (1) 各項の指数は $3,\,1,\,0$ ですべて非負整数なので整式。$\sqrt{2}$ は定数であり、定義が制約するのは指数だけなので影響しない。次数 $3$、定数項 $1$
- (2) $\dfrac{1}{x}=x^{-1}$ と書ける。指数 $-1$ は非負整数でないので整式ではない
- (3) $5=5x^0$ と見れば指数 $0$ で非負整数。定数も整式であり、次数 $0$、定数項 $5$
- (4) $\sqrt{x^2+1}=(x^2+1)^{1/2}$ で、根号の中に変数があるため $a_nx^n+\cdots$ の形に書き直せない。整式ではない
- (1) と (4) の違いは根号の中身が定数か変数か。ここを見るのが判別の作業になる
答え 整式は (1) と (3)。(1) は次数 $3$、定数項 $1$。
例題B(受験)
$f(x)=(2x-1)(x^2+3)-x(x^2-4)$ を展開・整理し、次数と $x$ の係数を求めよ。
解答
- $(2x-1)(x^2+3)=2x^3+6x-x^2-3$
- $x(x^2-4)=x^3-4x$
- 引く側の全体に負号がかかることに注意して $f(x)=2x^3-x^2+6x-3-x^3+4x$
- ここで $-(x^3-4x)=-x^3+4x$ となる。かっこ内の第2項の符号を反転し忘れるのが最頻出のミス
- 同類項をまとめて $f(x)=(2x^3-x^3)+(-x^2)+(6x+4x)-3=x^3-x^2+10x-3$
- 次数は最大の指数で $3$、$x$ の係数は $x^1$ の係数なので $10$
- 検算:$x=1$ を代入すると、もとの式は $(2-1)(1+3)-1\cdot(1-4)=4-(-3)=7$、整理後も $1-1+10-3=7$ で一致する
- 展開・整理の問題では適当な値を代入する検算が最も速い。試験中に自力でミスを発見できる数少ない手段になる
答え $f(x)=x^3-x^2+10x-3$。次数 $3$、$x$ の係数 $10$。
演習
(1) $g(x)=4-3x+x^3-2x^2$ を降べきの順に整理し、次数・最高次の係数・定数項を答えよ。
(2) $(x+2)(x-3)-x(x-1)$ を展開・整理し、次数を答えよ。
(3) $2x^3-\sqrt{3}\,x^2+\dfrac{x}{2}-1$ は整式か。整式なら次数と定数項を答えよ。
解答
- (1) 各項の指数は $4\to 0$、$-3x\to 1$、$x^3\to 3$、$-2x^2\to 2$。大きい順に並べて $g(x)=x^3-2x^2-3x+4$。次数 $3$、最高次の係数 $1$、定数項 $4$
- (2) $(x+2)(x-3)=x^2-x-6$、$x(x-1)=x^2-x$。引くと $x^2$ と $-x$ が相殺して定数 $-6$ が残る
- (2) 最高次の項が消えるため次数は $2$ ではなく $\mathbf{0}$。展開してから次数を読む理由がここにある
- (3) $\dfrac{x}{2}=\dfrac12 x$ で、$\dfrac12$ は定数だから係数として問題ない。分母に変数がある $\dfrac{1}{x}$ とは別物
- (3) 各項の指数は $3,\,2,\,1,\,0$ ですべて非負整数。よって整式で、次数 $3$、定数項 $-1$
答え (1) $x^3-2x^2-3x+4$、次数 $3$・最高次係数 $1$・定数項 $4$ (2) $-6$、次数 $0$ (3) 整式である。次数 $3$、定数項 $-1$
落とし穴(減点パターン)
- $\dfrac{1}{x}$ や $\sqrt{x}$ を整式と誤認する($x^{-1}$、$x^{1/2}$ で指数が非負整数でない)
- 係数の無理数を理由に整式でないとする($\sqrt{2}\,x$ は整式。制約は指数にかかる)
- 定数だけの式を整式でないとする($5=5x^0$ なので次数 $0$ の整式)
- 係数の符号を落とす($-3x$ の係数は $3$ ではなく $-3$)
- 引き算のとき負号を先頭の項にしかかけない($-(x^3-4x)=-x^3+4x$)
到達チェック(完璧の条件)
- ゴールを何も見ずに言える
- 整式の判別基準を「指数が非負整数」の一点で説明できる
- $\sqrt{2}\,x$ と $\sqrt{x}$、$\dfrac{x}{2}$ と $\dfrac{1}{x}$ の違いを言える
- 例題Bを白紙で展開し、代入による検算まで再現できる
- 確認クイズで合格点(4/5以上)
次へ
次は ME-M1-02。本単元の到達チェックをすべて満たしてから進む。
本単元の完成度は、初見の数値替えに即座に手順を再生できるかで測る。定義を先に言い、境界を書き、計算し、検算する。この四拍子を崩さない。受験では速さより先に型の安定が得点を守る。ミスの多くは計算力不足ではなく宣言の省略から起きる。だから答案の一行目に方針を置く。図や数直線が有効なら小さく描く。単位と含む含まないを忘れない。学習時間は短くてもよいので、毎回同じ型を三回再現する。三回目で手が止まらなければ次単元へ進む。止まれば例題に戻り、どの行で定義から離れたかを特定する。教材は繰り返し使う前提で書かれている。数式は読み上げ可能な形で整理し、係数と指数を混同しない。置換をしたら必ず戻す。絶対値は外したら領域を明記する。二次関数は頂点と軸を先に固定し、三角比は辺の名前を先に固定する。データの問題は設問ラベルを先に固定する。