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ME-PH-01-P03 測定誤差を見積もる
- ブランド: Medvance
- 講座: 基礎講座
- 科目: 物理
- 章: 物理量と測定
- 前提: ME-PH-01-P02
- 設計: 1中心技能、5〜9分、NotebookLM生成用
今日のゴール
測定値には必ず誤差が含まれることを前提に、絶対誤差と相対誤差を区別し、2つの測定の精度を比較できる。このPartはこの中心技能だけを扱い、誤差伝播の厳密公式には進まない。
受験での位置づけ
有効数字は「どこまで信じてよいか」を桁で表す方法だった。測定誤差は、その信頼できる範囲を数値で表す方法である。実験考察問題では「どちらの測定がより精度が高いか」を問われることが多く、絶対誤差だけを比べて誤答する受験生が非常に多い。相対誤差で比べるという判断ができるかで差がつく。
この回のポイント
- 絶対誤差は単位をもつ「ずれの大きさ」
- 相対誤差は「絶対誤差 ÷ 測定値」で、単位をもたない割合
- 精度の比較は必ず相対誤差で行う
- 同じ絶対誤差でも、測定対象が小さいほど影響は大きい
定義・用語
- 絶対誤差:測定値と真の値のずれの大きさ。測定値と同じ単位をもつ。
- 相対誤差:絶対誤差を測定値の大きさで割った割合。無次元量で、百分率で表すことが多い。
判断の根拠
長さ$20.0$ cmの物体を測って誤差が$\pm0.1$ cmなら、絶対誤差は$0.1$ cm、相対誤差は$0.1\div20.0=0.005$すなわち$0.5\%$である。ところが同じ$0.1$ cmの絶対誤差でも、測るものが$2.0$ cmなら相対誤差は$5\%$になる。つまり絶対誤差だけでは「その誤差が大きいのか小さいのか」を判断できず、測定対象の大きさと比べて初めて意味をもつ。これが精度の比較に相対誤差を使う根拠である。
解法を選ぶ判断
「測定誤差」では、最初に「測定値と誤差の単位がそろっているか」を確認し、次に「相対誤差=絶対誤差÷測定値」を使って計算する。単位が違うまま割ると値が桁違いになるので、割り算の前に必ずそろえる。精度を問われたら絶対誤差ではなく相対誤差で答える。結果が出たら「$5.0$ cm$\pm0.1$ cmと$50.0$ cm$\pm0.5$ cmではどちらが精度が高いか。」にも答え、基本例題とは問われ方が異なる発展問題でも同じ根拠を使えるか確かめる。
核となる手順
- 測定値と誤差の単位をそろえる
- 絶対誤差をそのまま確認する
- 相対誤差を「絶対誤差÷測定値」で求める
- 必要なら$100$をかけて百分率に直す
- 複数の測定を比べるときは相対誤差で判断する
基本例題
質量$50.0$ gを測定し、誤差が$\pm0.2$ gだった。相対誤差を百分率で求めよ。
解答
- 単位はどちらもgでそろっている。
- 絶対誤差は$0.2$ g。
- 相対誤差は$0.2\div50.0=0.004$。
- 百分率にすると$0.004\times100=0.4$。
**答え:$0.4\%$。**
演習
(1) 長さ$10.0$ cm、誤差$\pm0.1$ cmの相対誤差を百分率で求めよ。
(2) 長さ$100.0$ cm、誤差$\pm0.1$ cmの相対誤差を百分率で求めよ。
(3) (1)と(2)ではどちらが相対的に精度が高いか。
演習の解答
(1) **$1.0\%$** $0.1\div10.0=0.01$。
(2) **$0.1\%$** $0.1\div100.0=0.001$。
(3) (2) 同じ絶対誤差でも、測定値が大きいほうが相対誤差は小さくなる。
発展問題
(1) Aは$5.0$ cm$\pm0.1$ cm、Bは$50.0$ cm$\pm0.5$ cmだった。どちらが精度が高いか。
(2) ある測定の相対誤差を$1\%$以下にしたい。測定値が$20.0$ cmのとき、絶対誤差はいくら以下でなければならないか。
発展1の解答
- 絶対誤差だけを見るとBが$0.5$ cmで大きい。
- Aの相対誤差は$0.1\div5.0=0.02$で$2\%$。
- Bの相対誤差は$0.5\div50.0=0.01$で$1\%$。
答え:B。絶対誤差が大きいほうが精度が高いという、直感と逆の結論になる。ここが絶対誤差だけで判断してはいけない理由である。
発展2の解答
- 相対誤差$=$絶対誤差$\div$測定値なので、絶対誤差$=$相対誤差$\times$測定値。
- 相対誤差を$0.01$以下にしたいので、絶対誤差$\leq0.01\times20.0$。
- 計算すると$0.2$。
**答え:$0.2$ cm以下。基本例題が「誤差から相対誤差を求める」向きなのに対し、これは「目標の相対誤差から必要な精度を逆算する」向きになっている。**
落とし穴
- 絶対誤差と相対誤差を混同し、単位つきの値を割合として答える
- 単位をそろえずに割り算し、桁が合わなくなる
- 絶対誤差の小ささだけを見て、測定値の大きさを考えずに精度を判断する
到達チェック
- 絶対誤差が単位つきの量、相対誤差が無次元の割合である違いを、測定誤差の文脈で説明できる
- 測定値と誤差の単位をそろえてから相対誤差を百分率で計算できる
- 絶対誤差が大きいほうが精度が高くなる場合があることを、相対誤差の比較で示せる
- 目標の相対誤差から、測定に許される絶対誤差の上限を逆算できる
読み上げ注意
- 冒頭で講義番号・Part ID・ファイル名を読み上げない。
- 絶対誤差(ぜったいごさ)
- 相対誤差(そうたいごさ)
- 百分率(ひゃくぶんりつ)
- 数式は意味の区切りを言葉で補い、係数・指数・正負を曖昧に読まない。
範囲の境界
このPartでは「絶対誤差と相対誤差の区別と精度比較」を完結させる。物理量をベクトルとスカラーに分ける議論は次単元 ME-PH-02-P01 で扱う。